2.江戸時代の走り方について
(8)忍者の走り方の練習法について
「抜き足差し足忍び足」
という言葉があります。
忍者の走り方は、まさに「抜き足差し足」であったと思われます。
甲賀忍者の藤田西湖の本「どろんろん」[10]にある忍術訓練では、 最初に爪先歩きの練習をしました。
まさに差し足です。
そして、当時の歩き方・走り方では、後ろに蹴る、という動作は無く、
足を地面から離すときは、地面から足を抜くようにしていたと推定されます。
まさに「抜き足」です。
この抜き足差し足が
だいたい1分間あたり200歩以上の
高速で回転していたのが
忍者の走りではないかと推定しています。
当時の走る速度は時速16km
仮に歩幅1.2mとして、1時間で13333歩→1分あたり222歩
江戸時代の男性の平均身長は155~158センチくらい[17]だそうですから、
もしかしたらもっと歩幅も狭く、高速で足を動かしていたのかもしれません。
そして、忍者の走り方を修得するには
普段の生活から、爪先で歩くようにします。
普段の歩きから爪先で重心に着地できるようになると、
いざという時、すぐ走り出せます。
また、ふくらはぎの強化にもなります。
この爪先歩きを基本として、
前方、後方、横歩き、斜め歩き、這行(しゃこう)速歩の6種の走り方を
習得していたものと推定しています。
(現時点(2021年)では、前方の走りしか推測・再現出来ていません。
他の走り方についても、これから調査していきたいと考えています。)
そして、力底、一反の布をつけて走ることの再現に挑戦しました。
力底
自分の足元を見ながら小刻みに歩きます。
一反の布
一反の布を襟に着けて、
布の端が付かないように走る修行です。
今回、10mの晒し布でチャレンジしてみました。
かなりスピードを上げないと、端が付いてしまうので
高速で走るにはいい訓練と思いますが、
走っている途中で自分の目で布をチェックできないのが難点でした。
参考文献
[10]藤田西湖「どろんろん―最後の忍者」p33-41(忍術修行の章より)国会図書館蔵